リビングで、朔は暗い表情で朝食を食べている。余程ショックなのだろう。
僕は少し気にしながら食べている。
機嫌は暫らく直りそうにない。
だったら、また食べ歩きツアーを開くしかあるまい。
「ねぇ、朔…また食べ歩きする?」
「……今日はあまり外に出ない方が良いんだ…呪いが掛かってるから」
機嫌は良くならないまま。
しかも、あんなに好きな食べ歩きツアーを断るなんて…余程ショックに違いない。
でも、どうしたら機嫌を良くしてくれるだろうか…。
…あ、良い事を思いついた。
「ねぇ、朔!神社に行こう」
「神社……?」
「うん。神社で呪いを追っ払おうよ」
「!…」
「ね?」
「うん!」
元気を出してくれたようだ。
呪いなんてあるわけじゃないけど、一応機嫌取りに行く。
神社でお祈りをすれば呪いもなくなるだろう。
「じゃぁ、僕用意してくるね」
僕は食べ終わったので、一度部屋に戻って身支度をする事にした。
部屋に入ると、床に魔陣が出来ていた。
そこから一通の手紙が出てきた。出てくると、魔陣は消えた。
何かと思えば、父さんからの手紙であった。
<倖へ
そうか。朔を見つけたか。じゃぁ、八人全員で帰ってきなさい。くれぐれもそっちでの生活に気をつけなさいね。母さんも心配していたぞ。で、そんな母さんから贈り物だ。二人にだよ。大切に使いなさい。
父より>
手紙と一緒になっていたのは、綺麗なネックレスだった。
太陽の様に輝いている赤いネックレスと、海の様に青く輝いているネックレスだった。
きっと、母さんは僕に赤、朔に青色のネックレスを贈ってくれたのだ。
有難う、母さん。
心の中でお礼を言うと、僕は荷物を用意して下へと下りる。
降りると、朔は頭に白い色した三角布巾を頭に被っている所だった。
「……何してるの?」
「え、何って…呪い除け?」
「そう…」
見た事も聞いた事もない呪除けだな。
「朔、これ…母さんからの贈り物」
「わぁ!きれーじゃん!母さん、サンキュー!」
朔はさっそくつけていた。
僕もネックレスをつける事にした。
