「そういう事で、フラれちゃいました」
「・・・・なによ、それ」
「え?」

放課後の喫茶店。
私は明美に屋上での出来事を話した

「あんな抱き締めといて、なんなのよ・・・・それは・・・」

力なく呟く明美
私は微笑む

「いいの」
「え?」
「宙ぶらりんなままじゃくて、ちゃんと地に足がついた感じだから」
「菜穂・・・・」
「先輩が紀衣さんを選ぶのは間違ってないよ」

間違ってない

だから私は、前を向かなきゃいけない

だけどなぜか
あの日の抱き締めた後の先輩の切ない顔が頭から離れないんだ。


「でも菜穂、無理してる」

明美がふいに呟いた時

「菜穂」
「桐さん?」

私の目の前に桐さんが立っていた

「・・・あの馬鹿。何やってんだよ・・・・」

そう桐さんは言った

「菜穂、優陽は思ってた以上に馬鹿だった」
「桐さん・・・」

私は苦笑いをする

「しょうがないですよ。私じゃダメだったんです」
「そんなことない」

桐さんはすぐにそう言った
私は桐さんを見つめる

「どういう、意味ですか?」

明美が口を開く