あの騒動の次の日。

私たちは、病院に来ていた。

「優陽、菜穂……」

桐さんは私たちを見ると少し複雑そうに笑った。

「紀衣は?」
「いるよ、中でずっと外見てる」
「………話ができる状態か?」
「まぁ、一応はな……まだ、抜け殻みたいだけどな」

桐さんは私を見た

「傷は?」
「あ、大丈夫です……」
「そうか。……話すのか?今日も…」

桐さんは不安そうな顔で先輩を見てる。

「わかってもらいたい…」
「………わかったよ」

桐さんはドアを開ける。
そこにはベッドに座り外をずっと見てる紀衣さんがいた

「……紀衣」
「優ちゃん…………?」

ゆっくり振り返る紀衣さん

私を見てももう驚いてなかった。

「何しに来たの……」
「話に来たんだ、聞いてほしい……」
「嫌よ…だって話したら優ちゃんは、いなくなっちゃうでしょ?」
「……ならないよ。ただ、そばにはいれなくなる………………なぁ、紀衣?」
「………」

先輩が、紀衣さんの手を握る
紀衣さんの視線が先輩を見つめる。

「俺は、お前が一人になってから、そばにいてやらなきゃって責任感でお前のそばにいた。……それでも最初はいいと思ってたよ」