あなたじゃなきゃダメなのに…

――…プルル…プルル…

その日の夜、知らない番号から電話が

かかってきた。

「…ひくっ、もっ、…し…もし?」

「あー、嶺音? 俺だよ。俺。わかる?」

「…うぇ?誰。わかんないよ。ひくっ、」

「あー、寛貴だよ。今日まぢごめん。」

「……いいよ。別に。」

「怒ってる?まぢごめんって。」

「…うぅっ、いいっ…て言ってるじゃん。
ひくっ、っっ、」

…なんで、今電話してきたの?

「てかさ、俺断ってないよ。なんか、舞が

勝手に俺の名前使ったんだよ。」

…そんなの知ってるよ。

「うん。知ってるよ…。寛貴…は悪くない

んだよね?綾子もそーやって断られた

らしいんだよね…。」

いつのまにか涙は止まっていた。

「ぁ、まぢかぁ。てか、嶺音泣いてた?」

……ばれてたか。

「…ぅん。だって寛貴と遊びたかったし。

ちゃんと理由いってくれないから。余計

悲しかった。」

「だょな。ごめん。ってか、電話代ヤバイから

また里花とかからメアド聞いてまた

連絡するわ!」

「ばいばい。」

――…プー…プー…、

…はぁ。疲れちゃった…。

「あ゛〜!また目腫れちゃうよ。」

そんな風に部屋でくつろいでいたら、

の着信音が鳴った。

〜♪〜♪〜♪〜♪

…ピッ、ピピッ。

あ…寛貴からだ。寛貴だよ。登録しといて。

…か。はいよ!と送った。