恋の彗星―僕が彼女と結婚した理由―

「今さらなんだけどね…」

言いにくそうだった。

「私と、やり直してくれないかなって」

耳を疑った。

「…はっ?」

意味がよくわからなかった。

「良介が怒っているのは、わかってるよ?

私が勝手に別れを告げたから。

けど…私も振られちゃったんだ。

好きな女ができたからって」

彼女は息を吐く。

「つきあっていた男を捨ててまで彼を選んだのに、他に女ができたからって言われて捨てられて…。

悔しくて、つらくて、惨めで…ああ、良介もこんな気持ちだったんだなって」