「トイレで黒い虫が出て、しかも跳ねるの。

あたし虫が大の苦手で、それで…」

要するに、僕に虫を退治させるために呼んだと言うことですか?

あまりにもくだらない理由に、僕は何を返せばいいのだろう。

もういい、終わらせてさっさと帰ろう。

「トイレは?」

「ここ」

目の前のドアを指差した押切円。

僕はドアを開け、中に入る。

すぐにその虫は見つかった。

「何だ、便所コオロギか」

おそらく、窓から入ってきたのだろう。