俺にそう思わせてしまったことを負い目に感じたのか、彼女はとぎれとぎれに自分の気持ちを話した。


必死さが繋いだ指から伝わってくる。
その健気な姿に自分の中からどうしようもない何かが込み上げ、我慢しきれず彼女を抱きしめた。

思っていたよりもずっと柔らかな身体をできるだけ優しく包む。

テンポよく刻まれる胸の鼓動が彼女の気持ちを何よりも、雄弁に語っている気がした。

髪から覗いた耳が赤く染まっていて、つい引き寄せられる。

口に含んで食べてしまいたいという思いが、頭の中を支配した。


「…可愛いな、高橋」


可愛いくてたまらない。その照れた反応も、熱い身体も、全部ヤバイ。


腕に込める力が強くなり始めたところで、エレベーターの扉が開いた。
少しひやりとした空気が流れこみ、熱を冷ましてくれる。

彼女を腕の中から解放し、そのまま手をとって外に出た。


強引に踏み切りたい気持ちと、優しくありたい気持ちが混ざり合う。

しかし距離が近づく度に愛しさが募って、冷静でいられるのは時間の問題だと思った。