「玲皇君、お粥っ…」
少し落ち着いたのか、ひかりはゆっくりと俺の目の前へとお粥を運んできてくれた。
暖かい。
そう感じるのは、誰かの手作り料理が久しぶりだからだろうか。
「…帰るんだろ?」
ありがとうと言いたいのに、どうしても冷たくしか話すことが出来ない。
お礼ひとつ言えない自分にまたイライラが募っていく。
「…食べ終わるまで…いるもん」
「…」
まただ。また、どうしてお前はそうやって辛そうな顔をしながらそこにいるんだよ。
嫌なんだろ?大地に会いたいんだろ?
そうやって自分犠牲にして俺を介抱する前に、俺がこうして弱ってるときに自由に遊べばいいじゃねぇか。
俺が回復したらまた脅されるとわかっていながらお前はそこにいるのかよ…?
「…俺、分かるんだけど?」
「…え?」
「ひかりは顔に出やすいって。」
「…何言って…!」
「嫌なんだろ?ここに居るの」
「ちょ…!そんなことっ…」
「同情なら居なくていいから。むしろ帰ってよ」
同情なら。
俺はそういったけど、もし。もし、ひかりが同情じゃないと言ったら?
まあ、もとからそんなことあるわけないんだけど。
「…病人はほっとけないよ…!」
「同情じゃん。俺が病人だからそこにいるんでしょ?ただいなきゃいけないからそこにいるんだろ!?」
「っ…玲皇君っ…!」
「頼むからっ…!俺のこと、大嫌いなんだろ…?」
あの日、無理矢理犯そうとしたあの時のひかりの言葉が蘇ってくる。
当然なのに。あんなことをして大嫌いだと言われることなんて当然のことなのに…。
どうして俺はショックを受けてるんだ…!!
「…嫌いじゃ…ないの」
小さく掠れた声でひかりはそう静かに零した。
「…え?」
「…今の玲皇君は…前の玲皇君みたいに…冷たくないから…。嫌い…じゃないの…」
ひかりは震えていた。
だけど、確かにはっきりと、
そう俺に伝えたんだ…。

