かっこよかったなぁ…、大地。
大地に触れられた場所が、まだ熱を持ってる。
ジーンと熱い。
心臓はまだバクバクと動いて、緊張してる。
近くに大地はもういないのに。
やっぱり、好き。
改めて実感する。
大地はあんまり女子に話しかけるタイプじゃないけど、なぜかあたしには話しかけてくれる。
それがあたしにとってかなり嬉しくて、それが理由で好きになったのもある。でも、それ以外でも大地は本当に優しくてあたしの異変にはすぐ気付いてくれる。
そんな大地を好きになるのは時間がかからなかった。気付いたらいつの間にか大地を目で追うようになってた。
大地が好き。…なのにあたしは知らない人にキスされた。
いくら向こうが悪いって言ったって、隙を見せてたあたしの悪いに決まってる。
…大地と会うのが、なんとなく気まずい。
大地にとってはなんともないことだけど、あたしにとったら一大事なわけで…。
もう一回あたしは唇を軽く擦る。
そうだ。なかったことにすればいいんだ。思い出なんて、いつも都合よく修正されるもの。
だから、消せばいいんだ。
今日あった事を。
あたしは…、キスなんかされてないよ…。