「帰ってこないってどういうことだよ…!」
「…分からない…。携帯に電話しても繋がらないし…」
大地先輩と真田さんが焦る中、俺はじっと動けずにいた。
「…玲皇、お前…何か知らないのか?」
もちろん、大地先輩は俺に突っかかる。
でも、明らかに俺を信用していない瞳で俺を見つめる。
「…さっきまで一緒にいましたけど、その後は…知らない…」
俺はグッと押し黙る。
当然、俺のせいだ。
分かってる。きっと俺がさっきひかりにあんなことしたからもうここへは帰りたくないんだ。
いや、俺に会いたくないんだ。
「…やっぱり」
大地先輩が大きくため息をつく。
俺と真田さんは首を傾げて大地先輩に目をやる。
「…玲皇は、ひかりの彼氏なんだろ?」
「…はい」
彼氏…なんて良いもんじゃないけど、ここは"うん"というべきなんだ。
ひかりは肯定も否定もどちらも嫌がると思うけど。
「なら、何でちゃんと最後まで一緒にいないんだ?一体お前…何考えてるんだよっ…!」
大地先輩に思いっきり肩を掴まれて大きく前後に揺らされる。
「…」
答えられない俺。
おかしい。本当に最近の自分は吐き気がするほどおかしい。
だっていつもならこんな状況…笑って乗り越えてただろ?
軽く"知らないですよ"なんて言って笑い飛ばせてたはず。
だけど、今は言っちゃいけないような気がする。
今の状況を楽しんではいけないような気がしてどうしようもないんだ。
頭の奥底ではまたあのひかりの泣き顔が浮かんでる。
「…っ…くそ!」
「おいっ!玲皇!!」
俺は大地先輩の腕を思いっきり払いのけると、その部屋を勢い良く飛び出した。

