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俺、何してんだろう。

 制服のままで、星が照らさない街を徘徊する。
 小さいころに両親が離婚して以来、俺は父親に育てられた。母と別れた後の父は、専ら酒と女に依存して生活していたが、朝晩の飯(と言ってもコンビニの弁当なんかだが)と最低限の生活はさせてくれるものだと思っていたが。



 大家さんには、明日には出て行ってくれと言われた。
 明日も、明後日も、そのまた次の日も、学校がある。
 どうする。
 どうすればいい。

 あんな家でも無いよりかはマシだったんだな、と今更ながらに思った。家がない、ってだけでこんなにも生活が難しいのか、下手な冗談よりも笑えてくるから驚きだ。

 知らず知らずのうちに雨が降ってきた。
 小走りで駆け抜ける人は俺を気にも留めず、傘をさして歩く人たちは俺を避けて歩いている。

 もう、どうすることも出来ない。

 前髪を伝ってきた雨が目に入り、視界が霞む。
 目元を拭おうと動かした腕を、誰かに引かれ傘の下に入れられた。
 その手を振りほどくほどの元気もなく、とりあえず顔をあげれば、

「お前、何してるんだよ」

不可解そうな顔でこちらを見る、三浦葛菜と目があった。