「なっ、なんで・・・」
言葉が出てこなかった。涙が溢れて来て、そのひとが掠れて幻を見ているようだった。
おとうさんは、しばらくそこでお話しなさいって言って施設の方に戻って行った。
「柚月、待たせてごめん。ずっと逢いたかった・・」
記憶していたよりもずっと低い声で、でも大好きな声で久しぶりに呼ばれて
私はガマンできず、恒夜さんの胸に飛び込んだ。
あの頃と変わらず、しっかりと抱き締めてくれた。
久しぶりの恒夜さんの感触と匂い。
もう一生触れる事はないと思っていたから、夢見てるような感覚だった。
「なんでここが分かったの?そして私の事怒らないの?」
「ごめん。悪いとは思ったけど探偵雇ったりして調べたんだ。
もちろん俺自身も必死に探したが・・・。
あと、怒ってないよ。逆に俺が守ってやれなかったって責めてた」
「ありがとう、探してくれて・・ 忘れないでいてくれてありがとう」
