花恋-はなこい-

廊下にはここでは

1回も見たことのない、

でもこの学校の制服を着た

女の子が立っている。


「翠!」


その女の子を見るなり

蒼は真由のことを

抱きしめたまま、そう呼んだ。


「み、ミドリ……?」


真由と杏奈が口を揃えて呟く。


蒼は目を輝かせながら

真由たちに向かってこう言った。


「そう。藤岡翠。

 翠っつう字は

 “羽の下に卒業の卒”ね。

 昨日、E組に編入した

 俺の双子の姉貴」


「お、お姉さん?」


真由の言葉に蒼はこくんと頷く。


蒼が双子ということは

昨日聞いてはいたが、

まさかその双子の片割れが

“女の子”だとは、

真由は思っていなかった。