花恋-はなこい-

そんな態度を

側で見ていた杏奈が

すっと席を立ち、

「あんた、

 真由からはなれなさいよ!

 さっきっから失礼じゃない?

 真由の気持ちも考えないで。

 真由はね、E組の香坂君と

 付き合ってるんだから。

 学校中の公認のカップル

 なんだからね」

と言い、

真由を抱きしめている

蒼の手を無理やりはがそうとする。


真由の耳元でふふっと

蒼が笑った声が聞こえた。


「真由ちゃんの気持ちは、

 俺が変えるから、いいの」


蒼の言葉に、

真由は背筋がぞっとした。


“気持ちを変える?”


人の気持ちなんて

そんなにたやすく

変えることなど出来ない。


しかし蒼は、

いとも簡単に口にした。


それが真由には考えられないし、

恐怖すら感じる。


「蒼!」


突然、廊下から

聞き慣れない声がして、

真由たちは

その声のする方を見た。