花恋-はなこい-

真由は席に座ると

杏奈の方を向き、

話し始めようと口を開いた時、

「真由ちゃん」

レモンのような

爽やかな声と同時に、

背後からふんわりと

優しく抱きしめられた。


真由が素早く横を向く。


「ふ、藤岡君!」


蒼がにんまりとしながら

真由を見つめている。


「おっはよ、真由ちゃん」


悪びれる様子は一切なく、

真由に軽い挨拶をした。


昨日は確か、

“菅野さん”と

呼ばれていたはずなのに。


真由は自分の頬が

みるみると赤く染まるのを

感じながら、

蒼を睨みつけ、

「ちょっと、藤岡君。

 はなしてよ!」

と、真由には珍しく

大声で叫んだ。