花恋-はなこい-

「俺、あの子の

 後ろがいいです」


早乙女先生の言葉を

遮るように蒼が叫びながら

指を差す。


蒼の指先は、

まっすぐ真由を差していた。


真由はその指先に

びくんと反応し、硬直した。


蒼は指差しながら

真由をじっと見つめる。


その視線が眩しく、

真由は思わず俯いてしまった。


「あの子の後ろ、

 いいですよね?」


蒼は早乙女先生にそう言うと、

返事を待たずに

素早く真由の後ろの空間に

席を移動させて座った。