花恋-はなこい-

そんな早乙女先生の

すぐ後ろに、

見慣れない男子生徒が1人

ゆっくりと教室へ入ってきた。


教室がにわかにざわめき始める。


その空気を一蹴するかのように、

早乙女先生は勢いよく

出席簿を教壇に叩きつけた。


「ほら、静かにしなさい」


早乙女先生の冷たく

鋭い声が空気を切る。


一瞬で静まり返った教室を

確認すると、

早乙女先生はこほんと

ひとつ咳をしてから、

「おはようございます」

と今度は穏やかな表情を

浮かべながら生徒に挨拶をする。