花恋-はなこい-

長く退屈な授業が全て終わり、

教室内の空気が

一気に軽くなるのを感じる。


真由が脇に掛けてあった

バッグに教科書を入れていると、

廊下の窓から

「コンコン」と

ノックする音が聞こえた。


隣の杏奈が真由の肩を小突きながら、

「香坂君じゃないの?」

と耳打ちした。


真由ははやる気持ちを

抑えながら残りの教科書を

バッグに入れ、

そっと廊下の窓を開ける。


「おう」

圭輔が窓のサンに

肘をつきながら声を掛けた。


「けいくん、

 ちょっと待ってて。

 今、行くから」


心のどこかに不安な気持ちはあるが、

こうして圭輔の姿を見ると

それらが泡のように消えてなくなる。


自然と頬がほんのり赤く染まり、

鼓動も早まる。


真由は杏奈に軽く

挨拶を済ませると、教室を出た。