花恋-はなこい-

「聡史ぃ、

 卒業おめでとう!」


桜のつぼみが膨らみ始め、

ぽかぽかと暖かい校庭。


卒業式が終わり、

杏奈、真由、そして圭輔は

今日の主役である聡史を

囲うようにしていた。


嬉しいのと寂しいのと、

色んな感情が混ざって、

杏奈の言葉が震えていた。


そんな杏奈を

聡史は優しく片手で抱き寄せた。


「ありがとな、杏奈」


耳元で囁くように

そっと言う聡史に、

杏奈は小さく「うん」とこたえた。


杏奈の仕草が愛しいと感じたのか、

聡史はもう少しだけ

自分へと抱き寄せる。


「先輩、もう

 南高に来ないんすよね」


圭輔は少し

はにかみながら言った。


きっと、圭輔なりの

お祝いの言葉なのだろう。


聡史もまた、

圭輔に向かってはにかんだ。