花恋-はなこい-

答辞を読み上げる

聡史の後ろ姿。


いつも真由たちに見せる

それとは違い、

とても大きく

しっかりと見えた。


これから羽ばたいていく

未来への希望が、

聡史の背中から

滲み出ているようだった。


「聡史……。

 卒業、おめでとう」


聡史の背中を見つめたまま

杏奈はぽつりと呟いた。


固く握り締められている

杏奈の手を真由はそっと触れる。


杏奈が真由の方を向くと、

真由はにっこりと微笑んで

小さく頷いた。


「きっと、

 先輩に杏奈の気持ち、

 伝わってると思うよ」


「うん」


杏奈はまた聡史へと視線を戻し、

見えなくなるまで見つめ続けた。