花恋-はなこい-

全員の視線がその声に集まる。


「けいくん……」


「香坂!」


圭輔が壇上にいる蒼を

睨みつけながら

その場に立っている。


と次の瞬間、

圭輔は壇上に向かって

走り始めた。


その表情は、怒りに満ち、

目は尖ったナイフのように鋭い。


ステージの真ん中から

手を掛けてすっと上がると、

圭輔は蒼の手をすばやく掴み

思いっきり捻りあげた。


「ってーな!

 香坂は真由ちゃんのこと、

 眼中にないんだろ?」


顔をしかめ、

捻られた箇所をさすりながら

蒼が挑発的に言う。


しかし、その言葉を受け流し、

圭輔は真由のことを

ふわりと抱きしめた。