花恋-はなこい-

「ただいま」


真由は笑顔で

家に入った。


こんなことは

いつ振りだろうか。


久し振りすぎて

もう記憶にない。


それほどまでに

自分の気持ちが落ちていたことに

ショックを受ける。


真由はあれからすぐに

杏奈の家を出た。


聡史の合格パーティーではあったが、

やはりこの時間は

杏奈と聡史の時間として、

2人でゆっくりと

過ごしてもらいたかった。


そう思い、真由は

「用事を思い出した」

と嘘をついて、

その場を後にしたのだ。