花恋-はなこい-

真由の頭に

蒼の顔が浮かび上がる。


まるで大蛇のように

絡みつく蒼。


その姿を思い出し、

真由は蒼の存在を

かき消すように

首を横に振る。


「私は……、けいくんが好き。

 けいくんじゃなきゃ、嫌」


真由の呟きに

聡史は静かに頷く。


「圭輔も……、

 きっとこれではっきりと

 わかるはずだよ。

 あいつには、

 真由ちゃんしか

 いないってこと……」