花恋-はなこい-

真由は静かに目を閉じた。


中学の卒業式、

勇気を振り絞った告白を

受け止めてくれた圭輔。


不器用ながらも、

おでこにそっと

キスしてくれた感触が蘇る。


そっけないながらも、

いつも真由を守ってくれた

圭輔。


言葉数は少なくても、

握り締めた手から、

表情から

溢れんばかりの愛情を

感じていた。


とろけるような甘い笑顔の

圭輔。


思い出すと

胸の奥がきゅんとうずく。


そうっと真由は目を開けると、

しっかりとした眼差し見せ

口を開いた。


「私、けいくんのこと、

 好きです。大好きです」


真由の言葉を訊くと、

聡史はふんわりと

柔らかな笑顔を見せた。