花恋-はなこい-

真由もまた杏奈と同じく、

2学期に入ってから

聡史とは会っていなかった。


絶対に合格して欲しい―――


その気持ちは

真由も同じだったから。


そして今、2人に

向けられている聡史の顔は、

その時と変わらず柔らかで

気持ちをふわりと

包み込んでくれている。


ただ、黒ぶちメガネの

奥から覗く目には、

数ヶ月間の戦いを勝ち抜いた

という誇りが感じられる、

そんな気がした。


「先輩、合格おめでとうございます」


真由は口元をきゅっと上げて

今出来る精一杯の笑顔を向けた。


聡史はそんな真由に

優しくこたえてくれる。


「ありがとう。これで、

 ようやく杏奈と一緒にいられるよ」


そう言いながら、

温かい眼差しは

真由から杏奈へと注がれる。