花恋-はなこい-

そういう杏奈は

“恋する乙女”の表情だ。


いつも元気な杏奈とは

また違って、今日は

とっても愛らしく感じる。


「よかったね、杏奈。

 先輩とまた会えて」


真由の言葉に深く頷くと、

「うん。すっごく嬉しい!」

と満面の笑みでこたえた。

廊下の右側のドアの前で

止まると、杏奈は

ゆっくりと開けた。


「聡史、お待たせ。

 真由が来たよ」


ドアを背にして座っていた

聡史は、

杏奈の言葉を聞くと

ふわりと振り返った。


久し振りに見るその顔は、

とても穏やかでそして

晴れやかだった。


「おはよ、真由ちゃん」


「おはようございます、先輩」