花恋-はなこい-

なにからも逃げるようにして

自分の部屋に入り、

真由はドアの前にへたり込んだ。


薄暗い静かな部屋。


少しひんやりとした空気が

真由の心をさらに寂しくさせる。


真由の目からは止めどなく

涙が流れ落ちる。


「けいくん……。

 なんで……」


翠と一緒に手を歩く姿。


抱き合う姿。


そして、

翠と唇が触れ合った

あの数秒間。


圭輔の表情は

見えなかったものの、

翠を拒否するような様子もなく

むしろ受け入れていたように

感じた。


圭輔の気持ちが、

つかめない。


「けいくん……」


ただただ圭輔の名を呼びながら、

涙を流し続ける。