花恋-はなこい-

蒼のふんわりとした

優しい息に真由は背筋が凍る。


「私に構わないでよ!

 お願いだから、

 1人にさせて……」


真由の言葉が虚しく響く。


蒼は真由の手首を取ったまま

楽しそうに笑い始める。


「いいじゃん、

 俺とデートしてくれたってさー。

 ほーら、着いた。

 ここで遊ぼうぜ」


そう言うと、

蒼は真由を『ナノン』へと

引き入れた。


けいくんとしか、

男の子と一緒に来なかったのに……


心の奥底からの叫び声は、

蒼には届かない。


無神経なほど自分勝手な蒼に、

真由は恐怖さえ覚える。


「せっかくのデートだしさ。

 一緒にプリクラ撮ろうぜ」


真由の心情を全く無視して、

蒼は欲望のままに

真由の手を引っ張り歩き続ける。