花恋-はなこい-

今まで圭輔と一緒に

歩いていた通学路。


2人がとても大切にしていた

この僅かな時間。


なのに……


真由の手を

握っているはずの圭輔は、

いない。


“距離を置こう”


圭輔からの言葉が

嘘ではないことを

圭輔がいないことで思い知らされる。


隣にあるはずの

あの温もりが感じられない、

それが真由の心を

一層寂しく感じさせていた。


「まーゆちゃん!」


すぐ後ろから

能天気なほど元気な声が

聞こえたかと思うと、

がっしりと肩に

手を回されてしまった。


「ふ、藤岡君!」


蒼がこれ以上ないほどの

笑顔を真由に向けて

ウインクをする。