花恋-はなこい-

いつものアップテンポの曲が

部屋に響き渡る。


枕元に置いてある

携帯電話を手に取り

音楽を止めると、

真由はゆっくりと

ベッドから起き上がった。


まだ、圭輔からの言葉を

整理しきれたわけではない。


もしかしたら、今、

いつもの場所に圭輔が

いるかもしれない。


淡い期待を胸に抱きながら、

真由は制服に着替え、

洗面所で身支度を整えると、

リビングに用意された

トーストだけ口にくわえて

玄関を出た。


けいくん、考え直して、

そこにいるかもしれない……


そう思いながら、

真由はエレベーターから降りる。