花恋-はなこい-

「ふざけんな……」


圭輔は視線を

そのままに静かに、

でも鋭く言う。


と、甲高い笑い声が

教室に響き渡る。


翠が、さも

お笑いライブを観て

楽しんでいるかのように、

下品にげらげらと笑っていた。


耳障りな笑いが

おさまったと思うと、

翠が力いっぱいに

圭輔の腕を引っ張り、

「私だってそうよ。

 香坂君と一緒のクラスだから、

 有利だし」

と、真由をさげすむように

見下して言った。