花恋-はなこい-

圭輔が感情をむき出しにして

蒼へと向かおうと

足を踏み出した。


とそれと同時に、翠の腕が

圭輔の体に

大蛇のように絡まり

身動きが取れなくなってしまった。


「香坂君は、私のもの」


翠が圭輔の耳元に囁く。


それを確認した蒼は、

腕の中でもがいている

真由の顔を自分に向け

じっと見つめる。


「……!」


蒼の突然の奇行に

真由は言葉を失い、

目から涙がぽろりと流れ落ちた。