「ん・・・」

また苦しくなって、俊輝のワイシャツを握る。
すると、口を離した。

「ごめん・・・手ェ出しちゃ、駄目だと思ってるけど・・・」

「俊・・・輝」

「夢凪の事、大事にしたいんだ・・・」

そうやって思ってくれてるなんて・・・。

「ごめん・・・帰って」

「え?」
なんで・・・

「俺、手ェ出さない自信ない」

「・・・」

私は、良いのに。
でも、言わないと分からないよね・・・

「帰って・・・」

「嫌っ」

「え?」

「なんで?何で大事にしたいからって手出しちゃいけないの」

「・・・」

「別に良いの、私、良いんだよ・・・俊輝なら」

「夢凪・・・」


「俊輝だから、良いんだよ」


ワイシャツを握る手に力が入る。
ふと、顔を上げると俊輝は真面目な顔になってた。

「流石にそこまで言われると、引けなくなるんだけど」

「え?」

「夢凪、本当に良いの?」
何の確認?

「初めてが、俺で良いの?」

切ない顔で聞く俊輝。
その顔を見ると胸がギュッてなる。

「初めては・・・俊輝が良い・・・」

本気でそう思ってるんだ。


「俊輝が、良いんだよ」