私と先輩


信じられなかった。
今の言葉が。

「へ・・・?」

間抜けな声を上げた私に先輩は真顔で見てくる。

「好きだ。夢凪は?」

唐突な質問に一瞬理解できなかった。

けど、すぐに理解した。

好きだと言われたのだ。


「知ってますよね?」

一応聞くと先輩は意地悪な笑顔で
「何を?」
と言う。

先輩は私に言わせるつもりなのだ、私も好きだよ と。

「好き・・・・・・・です」

そう言うと先輩は屈託なく笑う。
この人には勝てそうにもないです。

でもすぐに真顔になって

「俺、ずっと夢凪の事でイライラしてたんだ」

先輩は私の頬に触れる。

「高校に入って夢凪のファンが増えて、
でも夢凪は気付かずにそいつに笑うし、」

そうだったんだぁ。

「夢凪は天然で無防備な所があるし、ドジだから
いつの間にか放っておけなくなってた。」

「・・・」

「そんなの、もう好きじゃんな。
でも俺、清也に言われるまで気づかなかったんだ」

「はい・・・・」

「恋愛的にはバカだけど・・・付き合って下さい」

「・・・はいぃ」

私は泣いてしまった。
そんな風に思ってたなんて。


先輩と私はしばらく抱き締め合っていた。
あの夢のように。

「大好きです・・・」