私と先輩

夢凪side

先輩は私に何を確めたかったの?
私は付き合ってないって言ったつもり。

でも、先輩は付き合ってると思ってたら?

私の言葉が足りなくて、
付き合ってるって勘違いしてたら?


もしも、逆の立場だったら私はどう思ってる?


[付き合ってるんだ]

ほら、勘違いしちゃう。

そんなの、やだ。


私は自然と来た道を戻り、
別れた所から更に奥に走る。

先輩に、ちゃんと、確実に、
付き合ってないって言わないと。

そう思いながら私はひたすら先輩の家へ走る。


「はぁ、はぁ、」

家に着くと、息が上がっていたのに気付いた。

一つ、深呼吸をしてインターホンに手を伸ばすと、

先輩の家から1人の男性が出てきた。

「あ・・・」

「こんばんは・・・」

その人は私に気付き、声を上げる。

「夢凪?」

「へ?」

あれ?この感じ。


「俊君?」

「久しぶり、」

やっぱり素っ気ない。

「俊兄さんに用?」

私は小さく頷く。

「待ってて」

そう言って家へと戻る。
素っ気ないけど、気が利くんだよね。
いつも人の気持ちに敏感で。

しばらくして俊君が出てくる。

俊君は小さく笑って

「じゃあね」

と言う。

「ありがとう」

聞こえたのか分からない。


私はまた、深呼吸を一つ、する。