私は、今日やっと高校生になりました。
そして、私は好きな人を追いかけてここに来ました。

「夢凪ちゃん」

一人の先輩が話しかける。
「あっ」

そして、その先輩の横に私の好きな先輩かつ幼なじみ。

「夢凪」

「しゅっ俊輝先輩」

私はこの先輩を前にすると、一気に熱が上がる。

「ちょっと夢凪ちゃん、こいつさぁ」

この先輩は俊輝先輩の中学からの友達。
田中 清也(たなかせいや)先輩。

清也先輩と俊輝先輩は同じクラスらしい。

それで、清也先輩が言うには俊輝先輩はモテてる。

「清也やめろよ」

「え?だってほんとじゃん」

「夢凪?」

俊輝先輩が私の名前を呼ぶ。
それだけで胸がぎゅっとなる。

「はっはい?」

「本気にすんな。」

「あっ・・・」

今、私達は校門の前にいる。

そして、私は女子に睨まれていた。

(ひぃぃ)

「もしかして、清也先輩もモテるんですか?」

「さぁね♪」

意地悪な笑みを浮かべる清也先輩。

「ひどいですよ!」

「別に、気付かない夢凪ちゃんがいけないんだよ」

「わざわざモテるふたりで来なくても良いじゃないですか」

「なんだよそれ」

私と清也先輩が言い合っていると、俊輝先輩が突然声を上げた。

「夢凪は会いたくなかったのかよ!」

「へ?」

「は?どうした俊輝」

「えっぃや、会いたくなかったっていうか」

「俺は、」

「ちょっ!!まってください!!」
「落ち着けよ!俊輝」

まさか清也先輩が俊輝先輩に声を上げるとは、

「え?あ、ごめん」

「今、その事を言ったら夢凪ちゃんの学校生活はどうなるか考えろ」

その事?

「あっあぁ、ごめん清也」

私は疑問に思い、手を上げる。

「その事って何ですか?」

そう言って清也先輩を見ると、清也先輩はあっ!しまったみたいな顔になっている。

「俊輝先輩の事ですよね?」
今度は俊輝先輩を見る。

「二人の秘密は言えない」

やっぱり。何かあるんだ!
「あっ!いじめとかですか?大丈夫ですよ?」

「夢凪・・・」

俊輝先輩は切なく笑って私の頭を優しく撫でる。

さっきから、後ろの視線が痛い。
だけど、今だけは許して欲しいと思った。
だって、こんなにも俊輝先輩が切なく笑ってるから。
きっと何かあるんだもん。