――あれから数時間

誰も居ない夕暮れの教室。

なんで、来てくれないの?
って、当たり前か、

だって、逆ギレしちゃったもん。
今までより嫌いになったよね。


私は自分の机にうずくまる。


寂しい。
寂しいのはこんな感覚なんだ。

改めて実感すると、涙がたまってきた。


「・・・寂しいよ・・・先輩」

声を出すと、涙が溢れ出た。


「ひっく、うっ・・・」

もう、自分じゃあ涙を押さえきれなかった。


カララ・・・

教室のドアが開く音がした。


やだ、みられたくない。

その人が私の方に向かってくる音がした。


「ごめん・・・」

そんな言葉が聞こえた。


「何・・・がですか・・・」

精一杯声を出す。


「寂しい思いさせて」

ポツンと放たれた言葉が教室に響く。


「ごめん」

今度ははっきりと言われた。


「もう、良いって、言ったじゃ・・・ないでずが。」

もう最後らへんは涙声。


「うん、でも、待ってたでしょ?」


私は顔を上げる。

「待ってません・・・」

嘘、待ってたよ。

その人は私の顔に手を伸ばす。

「ははっひでぇ顔」

その人は笑う。
とても切なそうに。


「前にもそうやって笑ってましたね」

見てるこっちまで切なくなる。

この人は何を抱えているんだろう。


「そうかな・・・」

その人は涙を一粒こぼす。

「泣かないで下さいよ、」

私にもまた涙がたまる。

「夢凪もじゃん」

その人は私を優しく抱き締める。


「俊輝・・・先輩」

先輩に触られると胸がぎゅっとなるんですよ。

心が早く高鳴るんです。

これはもう、『好き』ですよね?