――昼休み

「酉君行こう」

私は中野君と呼んでいたけれど、
酉と呼んで欲しいと言うので酉君にした。

「うん」

また申し訳なさそうに笑う。
可愛いよー

そして、二人で廊下に出る。

「んーと、まず4階からね、」

「うん」

――私達は色々な場所を歩いていた。

「ここに食堂ってある?」

「うん!行こっか」

そして、食堂へ歩き出すと、
みんなが酉君を見ている。
ヒソヒソ話す声も聞こえた。

「・・・」

「・・・?」
酉君が、気にも止めない様子なので、不思議だった。

あの照れ屋の酉君が、
見られているのに、平然と歩いてる。

しばらくして食堂に着いた。

「へぇーここかぁ・・・」

そう言った酉君のお腹が鳴る。
お昼は食べて居ないのだ。

「今日は食堂で食べようか」
そう言うと、酉君は顔を輝かせた。

「うん!」

酉君はA定食を買って、私はB定食を買った。

席を探していると、

「酉ー」

「姉さん!?」

酉君が姉さんと呼んだ人がこっちにきた。
その隣には、


俊輝先輩。


私は固まってしまった。

明らかにお似合いのカップルだ。

「もー酉もう彼女出来たの?」

「彼女?」

俊輝先輩の声が聞こえた。
低く、怒りを抑えているような、そんな声。

「あっ坂井です、酉君のお姉さんですか、
私彼女じゃないですよ、偶々、席が隣になったので・・・」

私はちらっと俊輝先輩を見た。
笑っている・・・
わっ笑ってる!?

「ははっなんだよそれ」

「へ?」

「まぁ、良いや、一緒にご飯食べようか」

「あっはい、」

そう言うと、先輩は私のご飯を持って行ってくれた。