「彼女さんには会いに行かないの?」


「はい・・・」


「なんで?」


「逢えないんです・・・
逢えないところに
行ってしまったんです・・・」


博己はズボンをギュッと握りしめた。



「そう・・・ 辛いね・・・
でもね、忘れて前に進むことも肝心よ。」


「えっ・・・!?」


「別れがあれば出会いもある、
人生はその繰り返しなんだから。」



『出会いがあれば別れもある』
かぁ・・・


でも今の俺には考えられない、
新しい出会いなんて、
愛梨以外の女性なんて、
とても考えられない・・・


博己の中で愛梨は絶対に
忘れることのできない存在だった。