「!?」

俺は、硬直した。


志保の隣の人影はやけに親しそうに、志保と並んで歩いていた。

並んで歩いているくらいなら、
同僚や友達や色々考え付くが、




そいつは、親しそうに志保の肩に手を回し
志保の黒い髪を束ねているゴムを
するっととった。
志保も、ちょっと不機嫌そうな顔をしたが
じゃれあうように笑った。

そして、そいつは志保のメガネも取り上げて、
志保のカバンに差し込む。


志保は
そのまま、
そいつと
寄り添って駅の方面へと向かっていった。


反対車線の歩道で俺が一部始終を目撃したことなんて
まったく気がつくわけもない。


「・・・彼氏・・・いたのかよ。」



こんなドラマのような事が目の前で起きたら
何も出来ずに固まるんだな。

飛び出していって
奪うとか出来ないんだな。


俺にも理性があるのか。



なんて、冷静に分析している自分に気がつく。




「昴様?」

武が動かなくなった俺を覗き込む。