御曹司なんてお断りっ◆

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「だから~。
 俺、帰りたい・・・」

「昴様、今から会食ですが?」

「だって、俺、志保と食事の約束が…」

「約束ではなくて、待ち伏せでは?」


秘書の武はため息混じりにつぶやくと、
書類を手早くまとめて、俺の目の前に立った。

「ストーカー行為は犯罪ですよ。
 そもそも、こちらの仕事が先に入っていました。
 そして、
 このデータに目を通しておいてください。」

いくつか渡された
薄っぺらい紙。
はぁーー
思わずため息。


「さぁ、行きますよ」

「・・・帰りたいのに。」

机の書類をいくつかまとめて、
武に手渡す。

こういう融通が利けば、本当に最高の秘書なんだけどな。

もう、俺
仕事する気はないし。



立ち上がりながら
俺は、携帯電話に手を伸ばす。


武が部屋のすりガラスのドアを開ける。

「どうぞ。」

有無を言わせない
おもーーい視線が俺に突き刺さる。

うわぁ。
武、怒ってるなぁ。
でも、俺だって気分が重い。


おっさんたちと食事するより
かわいい女の子と食事するほうが
断然疲れが取れるものだ。