あの、恋愛に興味がなさそうだった
田中さんが
男の人と正面玄関で待ち合わせしてたの!
って、軽く話題になっていたらしい。
出勤したら
同僚にも、「あのイケメンさんは彼氏ですか?」
なんて聞かれちゃった。
というか、
私がーーというより、
昴さんに注目が集まったみたい。
確かに、立っているだけで
目立つ人だよね。
でも
今のところ私の『彼氏』ではない。
「いえ。違いますけど。」
「じゃ、僕にもチャンス頂戴。
田中さんが男とデートだなんて聞いて、
本当にあせった。
だからーーー」
といって、黒田課長は
顔をぷいっとそむけた。
顔がほんのり赤くなる。
「課長。
……照れてます?」

