建志は、
腕を組みながら何か考えるかのように
天井を見上げた。
何?いきなり・・・
「建志?」
「志保。俺は心配です!」
「え?」
どういうこと?
ソファーに寝転んだ建志をじっと見つめる。
建志は、じっと私を見つめ返す。
「志保は、美人だし、
ちょっと天然だからそのギャップがかわいいし、
きっと男をメロメロに出来ると思う!
でも、
出会いがナンパな御曹司。ってどうなのか?」
建志が子供みたいに、
すねて口を尖らせる。
黒髪がさらりとゆれる。
「建志…大丈夫だよ。
そもそも、ナンパっていうか、
喫茶店で忘れたポーチを追っかけて届けてくれーーー」
と、いきさつを教えてあげる。
「だから心配しないで?」
この年になって
建志に心配されるなんてーーー
おかしくなって、ふふふと笑ってしまった。
「でも、やっぱり
お兄ちゃん的には
心配だよ。」
私のただ一人の
兄は、にっこり笑ってポンポンと頭を撫でた。

