御曹司なんてお断りっ◆


建志は、
腕を組みながら何か考えるかのように
天井を見上げた。

何?いきなり・・・

「建志?」

「志保。俺は心配です!」




「え?」

どういうこと?

ソファーに寝転んだ建志をじっと見つめる。
建志は、じっと私を見つめ返す。

「志保は、美人だし、
 ちょっと天然だからそのギャップがかわいいし、

 きっと男をメロメロに出来ると思う!


 でも、

 出会いがナンパな御曹司。ってどうなのか?」



建志が子供みたいに、
すねて口を尖らせる。

黒髪がさらりとゆれる。



「建志…大丈夫だよ。
 そもそも、ナンパっていうか、

 喫茶店で忘れたポーチを追っかけて届けてくれーーー」

と、いきさつを教えてあげる。


「だから心配しないで?」

この年になって
建志に心配されるなんてーーー

おかしくなって、ふふふと笑ってしまった。







「でも、やっぱり
 お兄ちゃん的には
 心配だよ。」


私のただ一人の
兄は、にっこり笑ってポンポンと頭を撫でた。