建志はすぐに自室から戻ってきて、
「ほら」
私に雑誌を投げ渡した。
何?
私は、雑誌を受け取って
ぱらぱらとめくる。
建志は私が腰掛けている
ソファーの隣に
腰掛ける。
緑色の肌触りのいいソファーが
ふっと沈む。
渡された雑誌は、経済雑誌。
建志は慣れた手つきで、
ぱらぱらとめくる。
「コレ?」
ひとつのページで手を止めて、
建志は指を刺す。
「あ。」
『時代のニューフェイス』の特集で、
今、やり手の若手を特集したページであった。
ーーー花京院 昴ーーー
「へぇ。ホントに御曹司だったんだ」
いや、信じてないわけじゃなかったんだけど。
「ふぅーん。」
面白くなさそうに建志は
ソファーに身を投げ出す。

