御曹司なんてお断りっ◆


声をかけたのは、
建志だった。

マグカップにコーヒーを二つ持った彼は、
にっこり笑いながら、話しかける。

「あ。ごめん。電話中?」

「建志。大丈夫。


 ・・・
 じゃ、忙しいので、きりますね」


ピッ




返事を聞かず切った。




「ねぇねぇ。誰?」

「ん?ナンパ男。」

「え?志保がナンパ男に番号教えるなんて珍しいじゃん?」

「・・・ちょっとね。
 やだ、建志ったら、なんでそんなにうれしそうなの。」

ニヤリと建志は
楽しそうに笑った。

うーん。建志がそんな顔しているときは、
「面白いことみーつけた」みたいな


建志の持っていたコーヒーを受け取る。
リビングにふんわりコーヒーの香りが充満する。



「で?そいつ、かっこよかったの?」

ニヤニヤと建志は楽しそうだ。
もう、絶対からかうつもりね。

私はあきらめたように、
ふぅっとため息を吐いた。

「ただでさえあきらめの悪いナンパにつかまっちゃったのに、
 建志にまでからかわれたら、
 私、疲れちゃうわ。」

「やだなぁ。志保。
 からかわないよ。
 ただ、面白いだけで。」


「もーーっ。」

「じゃ、どんな奴だけかは教えて??」


「うぅーーん。見た目はいいと思う。
 でも、迷惑だな。
 面倒だし。
 
 しかも、花京院さんだって。」



「へー。御曹司?どっち?
 あそこ、三人兄弟じゃなかった?」


「昴って言ってたよ」


建志はふぅーん。といって
自分の部屋に戻る。