御曹司なんてお断りっ◆


市川は会場の奥の椅子に志保を座らせると
ボーイにドリンクを持ってこさせる。

「…志保さん。お腹すいてませんか?」

「市川さん。ありがとうございます。
 大丈夫です。」

これから昴さんの両親と兄に会うっていう憂鬱があるのに
食べられないーー


「…志保さん。
 大丈夫ですよ。」

「え?」

「…だから・・・。会長夫妻は基本的に優しいお方ですし…

 んー、いや、ちょっと強引だけど…

 社長は…・・・ブラコンーーいや、弟思いですし。

 始様は変わり者・・・」

「--ぷっ。市川さん…全然フォローになってません。」

あははと思わず笑ってしまう。
市川さんは困ったように微笑してから、
志保の前に片膝を立てながら跪いた。

「…フォローできずにすいません。
 足は・・大丈夫ですか?」

「え?あ、はい。靴擦れなどはないと思います…」

市川はすっと、自然な動作で志保の靴を脱がす。
あまりに優雅にその仕草をするものだから、
見とれしまったーーー。



ナイトみたい・・・---ってか、目立ってない??


「あっ。あの・・市川さん…目立ってます…。」

「…あぁ、申し訳ございません。」

市川は表情も変えず すっ と志保の靴を再び履かせてくれた。

女性に慣れているオトナの男。

どこか昴と似ている市川になんだか思わず クスっと笑ってしまう。