市川は会場の奥の椅子に志保を座らせると
ボーイにドリンクを持ってこさせる。
「…志保さん。お腹すいてませんか?」
「市川さん。ありがとうございます。
大丈夫です。」
これから昴さんの両親と兄に会うっていう憂鬱があるのに
食べられないーー
「…志保さん。
大丈夫ですよ。」
「え?」
「…だから・・・。会長夫妻は基本的に優しいお方ですし…
んー、いや、ちょっと強引だけど…
社長は…・・・ブラコンーーいや、弟思いですし。
始様は変わり者・・・」
「--ぷっ。市川さん…全然フォローになってません。」
あははと思わず笑ってしまう。
市川さんは困ったように微笑してから、
志保の前に片膝を立てながら跪いた。
「…フォローできずにすいません。
足は・・大丈夫ですか?」
「え?あ、はい。靴擦れなどはないと思います…」
市川はすっと、自然な動作で志保の靴を脱がす。
あまりに優雅にその仕草をするものだから、
見とれしまったーーー。
ナイトみたい・・・---ってか、目立ってない??
「あっ。あの・・市川さん…目立ってます…。」
「…あぁ、申し訳ございません。」
市川は表情も変えず すっ と志保の靴を再び履かせてくれた。
女性に慣れているオトナの男。
どこか昴と似ている市川になんだか思わず クスっと笑ってしまう。

