御曹司なんてお断りっ◆


志保は綺麗に光に反射するグラスのワインを眺める。

昴の笑顔が脳裏によみがえる。

柔らかそうな髪の毛にグレーの瞳。
自信たっぷりに笑う姿に思わず見惚れてしまう。


見かけによらずしっかりした腕で、
胸板も結構 男らしくて
ーー唇も優しかったけど、熱をもって奥までキスされた時は
本当にドキドキしたーーー



って、なんてこと思い出してるの。私っ。

思わず赤くなる顔に一人で焦って
顔を両手で隠す。


「え?何?
 何かあったの昨日のホテル??」

「ぇへえっ?」

声が不自然に裏返ったことに志保自身が驚いて
あわてた。


「・・・へぇ。」

建志が意味ありげにニヤリと笑う。


ーーその笑みが怖いってばっ。