御曹司なんてお断りっ◆


注がれたワインをごくりと飲み干してから
志保はまたため息をついた。

「あのねーー。私はやっぱり不安…。
 好きだというだけじゃ・・・彼とは付き合えないでしょ?

 やっぱり君じゃ何も得られないからって言われたらーーー」


「花京院 昴って・・そういう奴なの?」


「--。家を捨ててもいいって言ってくれたけど
 それって無責任のような気がしてーー

 そういうのは嫌なの。」


「--。志保って・・・矛盾してない?」


あはは。と建志が笑ってワインを注いでくれる。

志保も十分に矛盾してるなぁと感じているから反論できずに黙る。

そうなのだ、
『花京院財閥』の彼を嫌がる割に、その家を捨ててまで私を取る。
と言われたら、嫌だという。



「つまりーー
 私に自信がないんだよね。」

はぁ。と志保はため息を漏らす。

その様子を建志はまた面白そうに笑った。


「ほかのダレかと比べるなよ。

 花京院昴は一人だけだろ?

 彼がお前のことを好きだというなら、好きなんだろ?
 
 家も立場も捨てると言うなら、捨てさせればいいだろ?

 志保に自信がなくても、
 彼には自信たっぷりみたいだけど?」


建志はグラスのワインを飲み干した。