注がれたワインをごくりと飲み干してから
志保はまたため息をついた。
「あのねーー。私はやっぱり不安…。
好きだというだけじゃ・・・彼とは付き合えないでしょ?
やっぱり君じゃ何も得られないからって言われたらーーー」
「花京院 昴って・・そういう奴なの?」
「--。家を捨ててもいいって言ってくれたけど
それって無責任のような気がしてーー
そういうのは嫌なの。」
「--。志保って・・・矛盾してない?」
あはは。と建志が笑ってワインを注いでくれる。
志保も十分に矛盾してるなぁと感じているから反論できずに黙る。
そうなのだ、
『花京院財閥』の彼を嫌がる割に、その家を捨ててまで私を取る。
と言われたら、嫌だという。
「つまりーー
私に自信がないんだよね。」
はぁ。と志保はため息を漏らす。
その様子を建志はまた面白そうに笑った。
「ほかのダレかと比べるなよ。
花京院昴は一人だけだろ?
彼がお前のことを好きだというなら、好きなんだろ?
家も立場も捨てると言うなら、捨てさせればいいだろ?
志保に自信がなくても、
彼には自信たっぷりみたいだけど?」
建志はグラスのワインを飲み干した。

