「--だから、言ったのに。」

「建志・・・」

「--なくほど好きだった?」

「ちがうわ。
 見抜けなかった私に、腹が立つの。」


家に戻ってきた志保を
建志は優しく迎え入れてくれた。


建志の顔をみるとなぜだか流れてきた涙が
ぽたりと玄関のタイルに落ちた。



建志はただ優しく微笑んでいるだけだった。

「あいつはビジネスパートナーとしては最高だよ?
 女性としては・・・最低だけどね?」

一応、フォローのつもりだろうか、
それが志保には
なんだか 笑いがこみ上げてきてーーー泣けた。