「---んっ。…っ。」

志保の甘い声で俺は我に返った。

あ。しまった。

思わずキスしてしまった。



志保の細い手が俺の胸を押し返す。
離れた唇がまだほんのり熱を持っている。


「…ご馳走様です。」

謝るのは、嫌だ。


「--はぁ?」

しかし、志保は気に入らなかったらしい。


「ちょっと。な…なんでキスなんてっ…」

「だって…好きだし?」

好きな女と二人で酒飲んで
ちょっと良い雰囲気だったら、
キスするのはアタリマエじゃないのか?


ちょっと、顔をしかめた俺に、
志保はもっと顔をしかめた。


え?なんで怒ってんの?



「--気持ち良くなかった?」

「え?ちがっ。急にキスされたからーーー」


「なんだ。急じゃなかったらいいのか?」

俺は、志保を抱き寄せる。